「最適」を目指すこと。そして「創造」を目指すこと。NOVITAの現在がわかる、対談サイトです。

Brand Promise

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
岩渕潤子×三好怜子
2013.09.26
百年後も大学がその理念を継承できるように 寄附というシステムは不可欠だ

第2回

アメリカでは卒業した瞬間から、寄附金を募るスキームが動きだす

img_article_iwabuchi_3

岩渕
学校らしさを継承していくためには、優秀な学生を集めるだけではなく、OBやOGが熱心に支援しているかどうかということも重要なポイントです。1つの例ですが、大阪の府立高校で北野高校というところがあります。旧制中学から続く伝統校で、東大進学率ではいまも全国トップクラスの高校ですが、ここの同総会のWEBが面白い。OBやOGへのインタビュー記事も充実していて、定期的な活動も活発です。先輩が後輩に向けた講演会の企画を活発にやっている。こういうことを通じて、学校の歴史を伝えることに成功している。普通、社会人に出身校を聞くと大学名を答える人が多いのですが、北野高校の出身者は「北野高校」と答えるのですね。WEBだけではなく、組織運営もしっかりしていて、寄附金もしっかり集めているようです。
三好
私は広島出身なんですが、地元の修道高校も同じように同窓会が組織化されていて、寄附金が集まっていると聞いています。
岩渕
卒業生から寄附金を募るためには、卒業生のトラッキングが大事ですね。卒業式が終わって、さようならでは、トラッキングできない。ところが、北野高校や修道高校のように、同窓会が組織化されていて、その活動が見えていると、卒業時に「今度は自分がその同窓会に入る」のだと認識できる。それは大きな違いですね。アメリカの大学の場合、卒業式の直後に、「次は君達が寄附して母校を応援する番だ」とはっきり伝えているところがほとんどです。学校全体が、寄附金を募るスキームを持っている。
三好
アメリカは寄附という行為が社会的に認知されているというか。日本はそうではないですよね。
岩渕
日本ももともとは、寄附が当たり前の社会だったようです。関東大震災のときに財閥や有力者が出した寄附金の金額は、かなりのものです。あと、神社やお寺に行くと、建て替えや改築に寄進した人の名前が柱に書いてあったりする。ところが、戦後の財閥解体や中産階級の増加で雰囲気が変わってしまった。お金持ちに対するネガティブな印象もありますよね。「あんなに寄附しているということは、もっともっと儲かっているに違いない」というような。
岩渕潤子
AGROSPACIA編集長、青山学院大学総合文化政策学部・客員教授
神奈川県生まれ
高校卒業後は米、伊、英などの大学、研究機関で学ぶ。
1991年、 慶應義塾大学文学部のアートマネジメント講座において、ニューヨーク、ホイットニー美術館での給費研究員としての経験を評価され、講師に就任。
2000年、静岡文化芸術大学文化政策学部助教授(後に准教授)就任。文化施設運営論、芸術環境論、メセナ論、アートマーケティングなどを担当。
2004年12月、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構専任教授、2010年4月から2012年3月までは慶應義塾大学大学院・政策メディア研究科教授。
アグロスパシア株式会社を2012年11月20日に設立。
2013年4月から青山学院大学総合文化政策学部・客員教授。
独立行政法人国立美術館・博物館評価委員会委員を2001年から2008年まで務めたほか、東京芸術大学美術館・評議員、芸術選奨(芸術振興部門)推薦人、及び、選考委員などを歴任し、現在も公職多数。著書に『ニューヨーク午前0時 美術館は眠らない』、『億万長者の贈り物』、『美術館の誕生』、『美術館で愛を語る』ほか多数。

≪記事一覧へ戻る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加