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岩渕潤子×三好怜子
2013.09.12
百年後も大学がその理念を継承できるように 寄附というシステムは不可欠だ

第1回

寄附とは、その組織が持つ理念を共有するシステムである

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三好
実は先日、私の母校のお茶の水女子大学のWEB制作のコンペがあって。その時にも話があったんですが、いま、日本の大学って助成金と授業料では成りたたないという。そこで寄附金を集めたいという話があるんですが、寄附金ビジネスに詳しい岩渕さんにお話を伺いたくて。
岩渕
それは普遍的な問題ですね。ただ、出発点として、寄附金ビジネスと言う表現はどうかと思います。私はもともと美術館や文化施設の寄附金集めに携わっていたのですが、自分の肩書きとして「美術館経営研究者」とは絶対に言わない。必ず「運営」と言ってきました。経営というのは、利益を出しつづけることでその組織を存続させることが目的ですが、運営は“継続的にその組織、理念が存在すること”が目的で、実は大きな違いがあります。
 いまどきは大学経営という言葉が普通に使われていますが、そもそも学校法人には、なんらかの理念があり、長期的なビジョンを持ってその理念の実現、継承を目的としている。そのために寄附金を集めるというのは、利益を出すことが目的ではないと胸を張っていえるのです。まず、そのことを自覚して、根底に置いた方が良いと思います。
三好
いかに寄附金を集めるためとは言え、短期的に理念に反することや、利益一辺倒の施策を打ってはいけないという。
岩渕
寄附という行為は、“理念、価値観を共有するシステム”だと思うのです。私立大学などに多い例ですが、親御さんが子どもも自分の母校に入れたいと思う。それは、自分が学んだ理念を子どもにも学ばせたいという、理念の継承なわけですね。その大学に消えて欲しくない、継続して欲しい。だから寄附するという気持ちになってくれると思うのです。
岩渕潤子
AGROSPACIA編集長、青山学院大学総合文化政策学部・客員教授
神奈川県生まれ
高校卒業後は米、伊、英などの大学、研究機関で学ぶ。
1991年、 慶應義塾大学文学部のアートマネジメント講座において、ニューヨーク、ホイットニー美術館での給費研究員としての経験を評価され、講師に就任。
2000年、静岡文化芸術大学文化政策学部助教授(後に准教授)就任。文化施設運営論、芸術環境論、メセナ論、アートマーケティングなどを担当。
2004年12月、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構専任教授、2010年4月から2012年3月までは慶應義塾大学大学院・政策メディア研究科教授。
アグロスパシア株式会社を2012年11月20日に設立。
2013年4月から青山学院大学総合文化政策学部・客員教授。
独立行政法人国立美術館・博物館評価委員会委員を2001年から2008年まで務めたほか、東京芸術大学美術館・評議員、芸術選奨(芸術振興部門)推薦人、及び、選考委員などを歴任し、現在も公職多数。著書に『ニューヨーク午前0時 美術館は眠らない』、『億万長者の贈り物』、『美術館の誕生』、『美術館で愛を語る』ほか多数。

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